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僕は自分が思っている以上に人からの印象を気にしていることに気付いた。よく思われたい、嫌われたくない、変に思われたくないなど。臆病な人間だった。
「私が気づかないとでも思ったの?」
スカートの端をつまみながらにやりと微笑んだ。そして背中を向けてくる。膝窩が丸見えになっていた。
僕の胸の高鳴りは最高潮に達していた。もしかしてすべてお見通しなのか。
「まぁいいけどね」
向き直って「これなに?」と僕の手を指差してきた。宝くじだ。「買ったの?」と聞かれ「いや」と返事した。
『少年。行動が大事だ。悩んでいても始まらないぞ。答えは常に先にしかない』
変態おじさんの言葉を思い出した。行動って言われても、それこそ犯罪だ。僕は小春に無理矢理迫ったりはしない。
「もう帰ろう」と小春は僕の前を歩き出した。伸縮する膝窩をちらちら見ながら後ろをついていく。すると「あ、そっか。ねぇ」と振り返ってきた。
「おんぶして」
にやっと笑う小春。僕の後ろに回り込み僕の肩に手をかけた。
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