ぶかぶかな服

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ぶかぶかな服

「なんでいるんだよ」  部屋に彼女である小春がいた。ベッドに背を預けだらしない格好で漫画を読んでいる。 「母さんは?」 「買い物、留守番を任された」  僕たちの母親は高校時代の幼馴染みらしく、こうやって留守番をさせるのも当然のこととなっていた。僕の部屋に入っていいとは言ってないが。 「それより明日、忘れてないでしょうね」  漫画に目を落としたまま確認してくる。「夏祭りだろ」と返して隣に腰掛けた。  背が低く、ほっそりしていてマスコットのようだ。小春とは対照的な高身長の姉のお下がりで少しぶかぶかで、半ズボンも膝よりも下。服に着られている感じだった。 「ふぅん」 「……何?」  眉間にしわを寄せ、僕をじろじろと見てきた。 「まぁいいけどね」  もしかしてヤング誌の件が見透かされているのか? とひやひやした。 「じゃあ帰る」と漫画をベッドの上に放り投げた。「あと、この部屋あっつすぎ」と言い出ていった。やはりぶかぶかだなと後ろ姿から思った。
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