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四話「伴侶の絆」前編✳
タリーの唇が耳元から首、揉まれて軟らかくなった胸、ぴんと立った乳首へと移動する。
「ぁ、ん」初めての快感に下腹が温かく疼き、タリーの髪をかき乱して悶えた。
「可愛い」フフっと笑うタリーの吐息に緊張が溶けて、また花の香りが立ち上った。
あぁ、タリーが好き。抱きしめて口付けて、体中に触れて気持ち良くしてほしい。発情ってこういうことね。
「ヴェロニカの香りは優しく爽やかで、凄くそそられる。きっとすぐに、もっと甘く柔らかくなるよ」ゲームでもそうだった。伴侶に可愛がられて、セクシーになっていくの。
「愛してるよ。婚約してくれる?」伴侶と結婚は違うの? 何でも良いわ、タリーと一緒にいられるなら。私が頷いた時に、チリンと何処かで鈴が鳴った。
「あぁ、守護者達が待ってるね。みんなを呼んであげて?」どうやって呼ぶの?
「鏡に向かって合図したら、来てくれるよ」上気した顔が映る鏡に手を振ると、扉が開いて六人の守護者が入って来た。
タリーは動きを止めないから、私は喘ぎっぱなし。いくら守護者でも恥ずかしい。
「ぁ、タリー、待って」胸とお尻を揉まれて、首筋を舐められながらじゃ話せない。
「いいんですよ、おれも伴侶候補だから、すぐに加わりますし」初めて会うとは思えないけど、今日の儀式で加わった人よね。
「その前に、婚約の報告をするよ」タリーが私の耳元で話し始める。
「ね、ヴェロニカ。君からきちんと伝えて」だから、耳を舐めちゃダメだってば。
「私、聖女ヴェロニカは文官タリヌムと婚約します」唇に柔らかな感触がして緑の光に包まれ、加護を得たのだと感じる。
「昨日選定された守護者から、僕達を祝福してくれる?」タリーの静かな声に、四人の守護者が膝をついた。
「おめでとうございます。わたしの祝福を受けて頂けますか?」神官イオナンタが穏やかに尋ねる。彼の声も、何だか懐かしい。
頷くと若草色の瞳が細まり、乾いた唇で優しい口付けを贈られた。白い光に包まれ、室内に清浄な空気が満ちる。
「凄いな、タリー殿を尊敬する」魔術師コレウスはタリーにニヤリと笑いかけて、私に向き直った。
「聖女、俺もご婚約を祝したいが宜しいか?」はい、と答えるのが精一杯の私に、滑らかな口付けをくれる。青い光に包まれ水の気配が漂う。
「ぼくは速さが売りなのに、状況変化に追い付けませんよ。でも良かったですね」赤らんだ頬が可愛い、商人パクレット。
一頻り緑の頭を振ってから、空色の目を潤ませて口付けられた。温かな風と水色の光が膨らむ。
「オレも倒れそうだ。聖女さま、おめでとう」細工師パースランも、濃い金の頭を傾げて、大きな橙色の目で私を見つめる。
パクレットの従弟だそうで、良く似た可愛い顔。軽く触れた唇は乾いた土の香りがして、黄色の光が広がった。
「みんな、ありがとう。では、今日加わった二人も祝福してくれる?」タリーが声をかける。
「騎士ヒビスクス。もう、聖女の匂いが堪らないです。側に行っていいですか?」赤い長髪にタレ目の男性。今日最初に触れられた人ね。
「触って貰いたいんでしょ?」タリーの顔を見ると笑って頷かれた。そう彼、ヒビスクスを見るだけで、胸や下腹が疼いている。
「来て」私は手を差し出した。
ヒビスクスは瞬く間に上着を脱いで、驚く私の側に潜り込んだ。
熱い体、熱い息。乾いた指が優しく頬に触れる。そっと唇を撫でられて、花の香りが上がった。
「聖女、おれとも婚約して貰えますか?」この人が欲しい、そう感じた。
「はい、騎士ヒビスクスと婚約します」答えた途端、深く口内を貪るように口付けられる。
燃えるような熱さと赤い光に包まれて、強い加護を授かったのを感じた。
体を捩って熱情に耐えるけど、花の香りが強まり、愛撫に身を任せる。
何処かで、ふぅ、と小さなため息が聞こえた。何故か気になる。気付くと他の音が絶えていた。
視線を巡らせると、小柄な男性が、寝台の足元に蹲っている。
「貴方も来て?」守護者なんでしょ? 声を掛けられて驚く様子に首を傾げる。
二人の動きで揺れる寝台から手を伸ばした。
「お名前は?」黒髪黒瞳(くろかみこくとう)が懐かしくて、涙が出そう。
「タッカ・シャントリエリです」奥ゆかしさも日本人を思い出させる。
「タッカでいいかしら? 傍に来て。お話ししましょ?」こんな状態で言うのも何なんだけど。
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