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この季節に薄桃色の花は咲き乱れる。 キミの事をずっと好きだ。 この想いが届くことはもうない。 キミが桜を見たいと言った。目一杯見たいと言った。だから閉ざされた場所から連れ出してあげた。 「わぁ...キレイ!」 舞った桜がキミの長い髪を飾る。桜よりもキミの方がキレイだ。 キミの髪に手を伸ばしたい。 でも...そんな勇気はない。 この時、桜と同じ様に儚く散ることを知っていたら... 僕は手を伸ばせたのだろうか? 次に会えた時には、木の匂いのする箱の中で...桜ではないたくさんの花畑にキミは寝ていた。 とても幸せそうに。   またこの季節が来る。 ようやく僕はその花に手を振る。 「好きだったよ...さようなら。」 終
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