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木兎光太郎①
今日も東京には強い日差しが襲ってくる。
日差しと言えば弟子の名前を思い出し、
弟子は今何をしているか
そんなことを考え乍、支度を済ませる。
俺の名前は木兎光太郎。
全国五本指に入るエースだ。
誰もが憧れる存在で、誰もが尊敬する存在。
そして、いつか一本指になる男。
それが俺だ。まだまだその夢は遠いのかもしれない。然し、俺は思った。
『ムリではなくムズカシイである』。
何事にもこれが適すのなら、この夢も「いつか」は叶えられる。
ムリなことなど存在しない。
何かしら、デキル に変えられる方法が見当たる「かも」しれない。
そのたった2文字の可能性に、今日もまた
「 ねみ ~ ッ 。 」
歩き出す。
学校に着くと彼に出会う。
「お ー っス木兎 ー」
「おっス !! 」
彼の名前は木葉秋紀。チームメイトで同級生。
彼は副主将でも司令塔でも何でもないのだが、いつも行動を共にすることが多い。
そして、彼も____。
「お早う御座います,木兎さん木葉さん 。」
凛とした声色に振り向くと、紺色の髪をした美少年。
彼の名前は赤葦京治。部活の後輩だ。
2年生乍副主将を務めているハイスペックな男。どうやら同い年にモテているらしい。
何でもそつ無く熟すエリートタイプ。俺の相棒でセッターだ。
「 おはよあかーしッ !」
ニッと笑いかければ彼は表情を変えず
「はい、お早う御座います」
サラっと返されると俺はムスッと拗ねる。
だが拗ねる俺には相手もせず、
「木葉さん、こないだの件ですが…」
____ なんか嫌だ。
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