65人が本棚に入れています
本棚に追加
2
孝介と付き合い始めて三ヶ月が経った。
私たちは平日には一緒に登下校をして、週末にはデートをして、会えない時はSNSで連絡を取り合った。雨の日には相合傘をしてみたり、晴れの日には日焼け止めを貸したりした。
共有する数多の瞬間の中で、彼の優しさや楽しさに触れ、私は少しずつ恋を積み上げていった。
「孝介」
「どうしたの、香子」
「えっと、元気?」
「あはは、なにそれ。超元気だって!」
話があまり上手くない私の会話にも、彼は満面で笑ってくれた。
あの時の告白、断らなくて本当によかった。
自然とそんな風に思えるようになるまで、私は彼のことを好きになった。
しかし反対に、彼は徐々にその温度を下げていった。
それは私を振り向かせることに疲れてきたからなのかもしれないし、自分が好かれ始めたことによる安心感からなのかもしれない。
彼からの連絡の頻度は減っていき、いつの間にか私から連絡することが多くなっていた。
波というのは上がった時の最高点が高いほど、落ちた時の最低点が低いものだ。
最初のコメントを投稿しよう!