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それからさらに三ヶ月ともすれば、彼からの好意を全く感じなくなっていた。
孝介は様々な理由をつけては一緒に登下校するのを避けるようになり、休日も友達との予定で埋まっていた。数分で返ってきていたメッセージも随分遅くなった。
「孝介」
「ん」
「元気?」
「……まあ」
たまに話をする時にも目が合わなくなり、笑顔も見られなくなった。
続かない細切れの会話を繰り返す。それもいつか終わって、私たちは無言になる。
彼は本当に私のことが好きなのだろうか。無言になる度、そんなことばかりが頭をよぎった。
今思えば、それは好かれていなかった訳ではなく、私と彼との大きすぎる温度差が1を0に見せていただけなのかもしれない。
ただ当時の私はそんな冷静な考えでいられる訳もなく、孝介からの好意を感じられなくなればなるほど、昔の彼を取り戻そうと躍起になった。
毎日懸命に彼の興味を惹きそうな話題を探してはメッセージを繋げる。
この会話を途切れさせてしまえば、私は孝介に忘れられてしまうんじゃないか。
そんな危機感から、私は必死に言葉を探した。
しかし、とうとう彼からの返信が来なくなる。
返信はしないのに平然とクラスで笑う彼を見るのは少し心が痛んだ。
それからしばらくの間。
私はベッドに寝転びながら、自分の送ったメッセージを見つめる日々を過ごした。
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