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Emptiness
「じゃ、俺大学行くからぁ。あと今日多分帰んないと思う。じゃーねー」
「...うん」
間延びしたチャラついた声とは対照的に、古びれた扉はかさついた嫌な音を立てて呆気なく閉まった。
彼がいなければ、この部屋もしんと静まり返る。
ベッドは昨日のままだった。
「...はあ」
なんで、あんな男。いくらなんでもこれはないだろ。なんで、どうして。
ああもう、最悪だ。
いつの間にか、座り込んでしまっていたらしい。首を振って立ち上がる。
シーツを剥いで、洗濯機に投げ込む。
ガタン、ガタン。
古い洗濯機は、回る度に酷い音を立てる。そろそろ買い換えの時期なのかもしれない。
最初はもっと、うまくいっていた筈だった。だけどいつの間にか、壊れかけていた。この洗濯機のように。
思えば、あちらからすればはじめから遊びだったのかもしれない。
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