小野彰人の独白

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小野彰人の独白

高校1年生で初めて迎える中間試験で俺はテスト勉強を全くしておらず、赤点がかかっている状態だった。 そんな時、中二病の妹あやが5分間だけ時を巻き戻すことができる不思議なメモ帳を取り出した。 使い方は簡単でメモ帳にタイムリープの宣言とその目的を記載するだけだ。俺は、すがる思いでそのメモ帳に『赤点回避の為」と記した。 眉唾かと思ったが、本当に時は巻き戻った。悪知恵の働いた俺は、あるカンニング方法を思いつく。 それは学年1の頭脳である角田羽純に試験終了後に回答を教えてもらい、テスト終了前に時を巻き戻し回答する方法だ。 この絶対にバレないカンニング方法で俺は赤点回避を目論んだ。 調子に乗った俺は欲に目が眩み、最後の数学の試験でタイムリープの目的を『試験で満点を取る為』と書き換えた。 しかし、試験が返却される数学は0点で返却された。 絶望している俺の前にあやが現れる。 周囲を見ると時が止まっており2人だけの世界となっていた。 あやは悪魔に乗り移られているようであった。 悪魔の目的は人間を無限のタイムリープに捉えることで精神を疲弊させ精気を奪い食糧とすることであった。 目的を達成しない限り、何度もやり直す。 俺は目的を上書きしよう試みるが、目的の上書きは、現状より達成目標が難しいと判断される目標への変更に限られる。もっとも悪魔の都合で機能しているメモ帳が本当にそんな判断をしているかは分からないが・・・ いずれにせよ『赤点回避』より『満点を取る』の方が難易度が高い為、目的を簡単な方向に上書きすることはできず、達成不可能な目的である5科目満点取得が無限ループ脱出の条件となってしまった。 尚、赤点は40点未満である。何故、俺は満点を取れるなんて思い上がってしまったのだろうか・・・
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