人の心を読める能力

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人の心を読める能力

物心ついた時から、 私には人の心を読めるっていう能力があった。 「おはようございます美優さん!(さっさと、起きろよ)」 「おはよう颯、、、」 人の心が読めるなんてけして良い事ばかりではない。 高校に入ってからは、多少能力を自由に扱えるようになってきたが、昔は酷かった。 人が持つ様々な気持ちや感情に、 毎日溺れそうだった。 「おはよう美優」 「おはよう父さん、母さん」 「おはようございます美優さん」 「おはよう絢斗」 私は制服に着替え、両親と一緒に朝食を食べた。 私の能力を知っているのは、 小笠原組5代目の父さんと、母さんだけ。 小笠原組の構成員は知らないし、秘密にしている。 「ところで美優、今晩大事な話があるんだが」 「なぁに父さん、大事な話って?」 「お前の結婚の話だよ」 「親父、美優さんにはまだ結婚は早いのでは?」 「、、、、、」 「美優も後一年程で高校を卒業するし、小笠原組の跡取りにも関わる事だし、ゆっくり話し合っていきたいんだ」 「、、、父さん、私結婚とかまだ考えてないから!」 「美優!!待ちなさい!!」 私は、朝食を残し部屋を飛び出た。 部屋から鞄を持ち、家の門を出ようとした時だった。 私は、腕をグッと引っ張られた。颯だった。 「美優さん!(この糞ガキ)」 「痛い!離して!」 颯は私を掴んだ手を離す。 「勝手に行動しないで下さい」 「あんたに関係ないでしょ!」 「ありますよ。俺は美優さんの世話係なんで」 「、、、、、」 「車とってくるんで、待ってて下さい(面倒かけさせやがって)」 颯は車を取りに車庫へ行った。 私は颯が居ない間に、門をくぐり家を後にした。 近所を歩くとすれ違う人達。 聞こえてくる心の声。 良い事も悪い事も聞こえてくる。 今日は聞きたくないって思っても、 なぜだか聞こえてきてしまう。 朝から嫌な事があったせいだろうか。 「あぁ、何も聞こえない世界へ行きたい」 気付くと私は、高校とは逆の電車に乗っていた。
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