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手始めに、社員の大学時代の知人に不動産業の跡取りがいるという。その跡取りは不動産に興味がなく、自分でやりたいことがあるという。そこで社員はそれができるところとして、うちの会社に引き入れるという。そのバーターとして、資本取引をすることを提案された。社員の燃える情熱の火を消すわけにいかない。何とも社員主導で、社長としては頼りないこととなったが、四の五の言わず、ゴーサインを出した。
これも、またうまくいった。顧客への提案に始まり、都市開発の大きなプロジェクトに参加することができ、人懐っこい社員は道路拡張の立ち退きに渋る人たちを頷かせるだけでなく、仲間になって取りまとめ、より利便性が良く、住みやすい街づくりを行なった。
家が建つころには三人目が生まれた。うれしかった。二人目で倍うれしかったのが、三倍ではなくもっともっとうれしかった。そして何より咲希子の笑顔がうれしかった。
いつのころか、この前後だろうか、会社にいる時間が増えていた。
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