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この日のためにオーダーメイドしたスーツを着て、露希は誠について中嶋組の組長宅を訪れた。
まず通されたのは6畳ほどの小部屋で、そこは控室のようだった。
「露希。何を言われても、いい返事をするんだぞ?」
「うん……」
こうしているだけでも、視界がぼやけてくる。
舌先を噛み、露希は涙をこらえた。
「おう、神崎。来てたか」
「外山さん」
外山には、怖い感情しか湧かない。
露希は、そっと誠の陰に隠れた。
だが、外山は容赦しない。
露希の肩に手を置き、ずいと表に引き寄せた。
「見違えたな。さすが神崎、お前に預けて正解だった」
「ありがとうございます」
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