第十章 幸せな日々

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 この日のためにオーダーメイドしたスーツを着て、露希は誠について中嶋組の組長宅を訪れた。  まず通されたのは6畳ほどの小部屋で、そこは控室のようだった。 「露希。何を言われても、いい返事をするんだぞ?」 「うん……」  こうしているだけでも、視界がぼやけてくる。  舌先を噛み、露希は涙をこらえた。 「おう、神崎。来てたか」 「外山さん」  外山には、怖い感情しか湧かない。  露希は、そっと誠の陰に隠れた。  だが、外山は容赦しない。  露希の肩に手を置き、ずいと表に引き寄せた。 「見違えたな。さすが神崎、お前に預けて正解だった」 「ありがとうございます」
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