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「まだ若いが、しっかりしてる。外山も、そう思うか」
「はい。何せ、こちらの神崎がみっちり教育しましたから」
うんうん、と中嶋の顔つきは、どんどん緩んでゆく。
誠はその様子を見て、もはや後が無い、と感じていた。
(今なら、まだ間に合うかもしれない。言うんだ、親父さんに。勇気を出して)
露希を私にください、と。
指一本、いや、腕一本差し出しても構わない、とさえ思っていた。
誠は、露希が組長へ贈られるその時に、直訴する覚悟で今日を迎えたのだ。
頭でひねり出した姑息な手段は、通用しない。
ならば、心で訴えるしかなかった。
しかしそこへ、中嶋が意外なことを言い始めた。
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