第十章 幸せな日々

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「これだけの上玉なら、神崎にもお似合いだ。外山、ご苦労だったな」 「親父さん、では藤川 露希を神崎への餞別として認めていただけますか?」 「いいだろう」  周囲から、拍手が沸いた。 「え? は?」  言葉を失う誠に、中嶋はにやりと笑った。 「三十路も半ば過ぎ、いいかげん所帯を持ってもいい頃だろう。なぁ、神崎」 「で、では!?」 「お前にぴったりの嫁さんはいないかと、外山に以前から話しておったのよ」  外山が、誠を肘でどついた。 「イヤだ、とは言わせんぞ。一ヶ月、あれだけべたべたしていては、なぁ?」 「外山さん、何もかもご存じで!?」 「私は人の気配を感じ取ることが得意だが、自分の気配を消すことも得意でね」  観覧車でヤり始めた時は、さすがに呆れた、と言うと、仲間内から失笑が沸いた。  誠は真っ赤になって、話題を変えようと必死になった。
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