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いくら鈍い研介でも、人気のない資料倉庫に呼び出された時点で、これはなにかあるな、と察していたのだが。
密かに好意を抱いていた部下の胡麻子に告白されそうな緊張感の中。
なんとかいつも通りの自分を装って此処まで来たのに。
倉庫に入った途端に、胡麻子が、
「課長っ。
此処に爆弾がっ!」
などと叫んできたので、完全にテンパってしまったのだ。
仕事ではどんなピンチでも取り乱したことなどなかったのに。
せっかくの胡麻子からの告白が突如現れた時限爆弾により邪魔されそうだという危機に、研介は胡麻子並に冷静さを欠いた言動を繰り広げてしまっていた。
「赤と青がないっ?
じゃあ、赤と緑はないのかっ?」
いや、別に赤と緑だったら、正解がわかったわけでもないのだが。
黙っていられなくて、そう叫んでいた。
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