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死神とは、現世で彷徨う魂を冥府まで導く者たちのことである。
死神は神の采配により、死んだ人間が抽選で選ばれてなり、任期は五年と決まっている。真面目に五年死神として働けば、生きているときに積み重ねてきた罪の軽減で天国に行けたり、転生先を優遇されたりするらしい。
五年の任期を終えた死神は死神屋が成仏のサポートを行う。
死神屋とは死神と人間との間に生まれた子たちのことである。死神が人間に寄り添う中で、情がうつり、恋心が芽生え、子をなすことが少なからずあるのだ。
死神と人間との間に生まれる子は身体がとても弱く、死亡率が非常に高い。神は死神屋としての仕事をこなすならば丈夫な身体を授けると約束し、現在の死亡率は零である。
今日も幸子のポストには差出人の不明な茶封筒が入っていた。自宅に入って暫くすればピンポーンとインターフォンが幸子の自宅に響く。
彼女は死神と人間との間に生まれた、人を"幸せにする子"──幸子。
「あなたが、わたしの死神さん?」
彼女は死神屋として成仏させるために、また家に死神を招き入れる。
幸子の家のリビングには、二本の四つ葉のクローバーが水の入ったグラスに飾られている。
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