1-impact

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 中には、年齢的に自分が勃たないものだから、代わりに親族の男を用意して宛がってきた者もいた。  まったく、歳を取っても欲望だけは健在なものだから、その分、余計にねちっこいというか、しつこいというか――――とにかく疲れた。  それらを思い出して溜め息をついたところ、誉はピクリと肩を揺らした。 「やっぱり、オレはクビか?」 「ん?」 「でも、本当に役者になりたいんだ。だからオーディションだけは受けさせてほしい」  誉は、不正が無ければ、確実に自分は次のオーディションへ進むのだと思っているようだ。大胆なくらい自信あふれるその様子が、聖の琴線(きんせん)に触れる。 ――――こういう男は、嫌いじゃない。 「……このあと、予定はあるのか?」  するりと、そう言葉が出ていた。  誉は目をぱちくりしながら、首を振る。 「いいや。今日はもう終わりだ」 「そうか――」  目を細めて、聖は誉に微笑みかける。 「それじゃあ、その紙袋を持って付いて来い。オレの家は、この近くだ」  そう告げると、あとはもう後ろも見ずに、聖は歩き出した。  少しだけ戸惑ったあと、誉はゴクリと喉を鳴らし、その後を追った。
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