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2-Love
バスローブから伸びる足は綺麗な乳白色で、象牙のように滑らかだった。
思わず見とれていると、天女のように美しい白い腕が上がった。
「さぁ、それを食わせてくれ」
一瞬で我に返り、誉は慌てて、皿に取り出した料理をフォークで刺す。
「ど、どうぞ」
「うん……」
緋色の唇が開き、紅い舌が覗くと、その料理は口内へと含まれた。
聖は、それをゆっくりと咀嚼して、美味そうにコクリと嚥下する。
「……急いで作ったわりには、美味いな。なんていう料理だ?」
「サルティンボッカ、です。仔牛の肉に生ハムをのせてバターでソテーした料理です」
「イタリアンか。ワインが合いそうだな」
聖はそう言うと、スッと部屋の一角を指差した。
「あそこに小さなワインセラーがあるから、適当な赤を持って来てくれ」
「は、はい」
「グラスは二つで」
その艶やかな笑みに陶然となりながら、誉はすくっと立ち上がる。
聖がバスローブ姿なのに対し、誉は依然としてジーンズとシャツを身につけていた。
マンションについて早々、聖は直ぐにシャワーを浴びに浴室へと行ってしまった。
自分もそれに続くべきかどうかと悩んでいる内に、聖が先にバスローブ姿で現れた次第だ。
やはり迷わずに自分も浴室へ行くべきだったか?
それとも、待機していて正解だったか?
誉は答えが分からず、ただ悶々とするばかりだ。
「どうぞ」
「ああ」
ワインを抜栓して瓶を傾けると、聖はグラスを差し出した。
とくとくと注ぎ始めたところ――――
「あっ!」
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