はかねの煙り

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          -はかねの煙り-43e06d1a1-c2dd-4cb8-ad3c-9cbbb0171e99                       制作:kaza to kumo club どれぐらいたったのだろうか? 「コン」と言う竹の音で目を覚ました私は、 かすかに臭うイオウの香りに……むせた。 ”なんだろう? このけだるさは……?” 身体が何故かひどく重い。 鉛のようだ。 と……どこからともなく笛の音がなっていた。 なつかしい音色……? だが、とても小さい。 ”こ、これは……!?” はかねの音はまるで湯煙のように部屋中に潜んでいた。 イオウの臭いは……さらに強くなる。 なにかが私の足に触った。 冷たい。 とにかく、氷のように冷たいのだ。 その冷気がゆっくりと……ゆっくりと私の身体を這い上がって来る。 ”ま、まさか……?” 私は背筋が寒くなった。 これは金縛りなのか? まるで身体が動かない。 ゆっくりと……だが、確かに……それは這い上がってくる。 ”う、うそだろう?    まさか……あの女の霊……?” 白い腕が……ちらりと見えた。 だが、私の身体は動かない。 また、見えた! 今度ははっきりと……爪が赤い! まるで血のように……。 ”う、ウワアアアアー! 助けてくれ~!” 私は叫んだ! だが、声にならない。 見えない手が私の口をふさいでいるかのようだった。 ”殺される…” 額から……だらだらと冷や汗が流れ始める。 ついに、それは私の顔の前に現れた。 動かぬ私の顔を……じっと見据えている。 ”な、なんだ! お前は……?” 心の中で必死にもがき叫んだ私を、そいつは笑っていた。 それはあの女などではない。 断じて違う! 姿形はたしかにあの女に違いないが……目が違うのだ! そう、白く濁った目ではない。 黄色輝くけものの目! 魔物の目だ! それは鋭い牙で私の咽を引き裂こうとしていた。 いや、それだけではない。 やつは……、 私の魂まで裂こうとしていたのだ。 ”ワアアアア~!” 私の意識がなくなる瞬間……また、音色がした。 今度はやさしく、しとやかに……。 そして、 魔物の上にはまぎれもなく、姉の怒りに満ちた顔があった。 それは魔物にではなく……この私に向けられていたのである。 はかねの煙り改定4p      -4p-
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