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プロローグ
心地良い風が穏やかに吹いている森の中、一人の男が木の上にいる私を見上げていた。その男はとてもきれいな顔立ちをしていた。男性にきれいという表現は合わないかもしれないが、この男にはこの表現がピッタリだと思った。
そして男は、私から視線をずらさず呟いた。
「君は、神の愛し子か?」
何がどうしてこうなった!!! 私は心の中で絶叫した。
それもそのはず。私はこの世界に来て、なるべく人(特に権力者)と関わらないよう細心の注意を払って生きてきたのだから。
私の名前は、一ノ瀬 奏。この世界風に言うと、カナデ・イチノセになるのかな。私は数年前まで、大学入学間近の日本人だった。
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