2-目覚めたら

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(熱中症……) あの炎天下を、日傘も差さず帽子もかぶらずに、その上真っ黒な分厚いスーツを着た状態で歩き続けていたのだ。 無理もないかもしれない。 あ、そうだった。 「スーツは……」 私が一抹の不安を覚えながら言うと、彼はデスクの横のクローゼットを開けた。 「君の一張羅はね……ここ」 そう言って、私に中が見えるように体をずらしてくれる。 確かに、そこには黒いジャケットとタイトスカートが、きちんとハンガーにかけられた状態で収まっていた。 (よかった……)
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