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戻ってきたヤンキー救命士は、きっとひどいことになっているだろう私の顔を見ても、顔色一つ変えなかった。
普通ならぎょっとしそうなものなのに。
そして何事もなかったかのように──まあ、彼にとっては何事もなかったのだけど──私のそばまでやってくる。
「──!」
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
でも気づけば、その腕の中に抱きすくめられていたのだ。
絶妙に溶け合った汗のにおいと柔軟剤の香りに包まれる。
「……あの」
何か言わなきゃと思って口を開いたのに、後がうまく続かなかった。
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