3-浄化

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こんなふうに抱きしめられたのっていつぶりだろう。 知らない人のはずなのに、どうしてこんなに安心してしまうのだろう。 そう思った途端、また涙があふれてしまった。 「……大丈夫」 そう言って彼はそっと腕をほどき、私の頭を軽く撫でた。 そしてその手はそのまま後頭部を支える。 (ああ、この体勢は……) まるで条件反射のようにまぶたが閉じるのと同時に、柔らかく温かい唇が触れ合った。
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