5-病院にて

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5-病院にて

「──ちょっと! 病院に運び込まれたなんて心配するでしょ!」 不安と安堵がないまぜになったせいで憤る私の隣には、大学で一番の友人である村田美波の姿があった。 バイト中に貧血で倒れたのだという。 幸い特に深刻なものではないらしく、念のため一晩様子を見て、明日には退院できるだろうとのことだった。 「いやあ、ごめんね。でも就活帰りに飛んできてくれる友達がいるなんて泣ける」 そう言って美波は肩をすくめた。 腕につながった点滴の管が揺れる。
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