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「そんなこと言ってないで。もう、倒れるほど無理しないでよ……」
私は心の底から言った。
連日の酷暑は過ぎ去り、少し過ごしやすくはなってきた。
それでも、季節の変わり目というのはいつだって、体に負担がかかるものなのだ。
「あ、でもね。良いこともあったよ」
そんな私の心配をよそに、美波は明るい声で話し続ける。
「救急車で診てくれた救急救命士の人がね……」
救急救命士──?
その単語に心のどこかが反応する。
(ああ、そういえば……)
とんでもなく暑かった日に見た夢に出てきたのだ。
救急救命士を名乗る青年が。
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