1-炎天下で

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ああ、やっとJRの駅が見えてきた。 さすがにこの炎天下を二十分以上歩き続けるのはつらい。 私鉄の駅なら五分で済んだのだけど、少しでも交通費を節約したいのだった。 自宅周辺にはJRの駅しかない。 ゆえにJRだけで移動すれば、私鉄とJRを乗り継ぐ場合と比べて往復で七百八十円も浮くことになるのだ。 余分に歩く四十分で七百八十円──時給換算すると千百七十円だし、悪くない。 悪くはないけれど、わびしくはある。 思わずため息をつきそうになった時だった。 「おね~えさん!」 斜め後ろから声をかけられた。 何? この無駄に元気で調子の良い声は。 そう思って振り向いた瞬間──目の前が真っ暗になった。
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