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「ちょっと待ってろよ。」
そう言って、お父さんは席を離れて…
「これが、沢渡柊司君だ。」
戻って来たお父さんから手渡された一枚の写真…
仕事場らしき所で微笑むその人は、小洒落たスーツを着て、穏やかに微笑んでいる。
それを見た私の鼓動は、急に早鐘を打ち出した。
う、嘘だ!?
こんな素敵な人が、一般人にいるはずがない!
落ち着け…落ち着くんだ、芹香!
私は、コップのお茶をぐびぐびと飲み干した。
そして、もう一度、写真に目を落とす…
(……す、素敵…!)
信じられないけど、ソジュン級のイケメンだ。
今、口を開いたら、私は間違いなく言ってしまうだろう。
「この人と結婚します!」と。
しかし、落ち着け。
一般人でこのレベルのイケメンなんて、そうそういるもんじゃない。
そうだ…!これは、きっと『奇跡の一枚』なんだ。
服装や髪形のセンスは確かに良い。
でも、座ってるから、もしかしたらとんでもなく背が低いのかもしれないし、外見にもなんらかの『ワケ』があるのかもしれない。
だから、わざとこんな格好良い写真を渡したんだ。
何百枚も撮ったうちの奇跡の一枚かもしれないし、或いは、修正をかけてあるのかもしれない。
今のパソコンの修正技術を使えば、別人みたいになれるだろうし。
でも、確かに、気になる。
実物は、一体、どの程度に格好良い人なのか…
それに、いやなら断れば良いわけだし…
「お父さん、私…この人と会ってみるよ。」
私の気持ちは決まった。
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