427人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
同窓会のお知らせ
「んぅ……」
ピピピッピピピッと、どこか遠くで聞こえる鳥の鳴き声。
まだ半分も覚めていない。沼に浸かっている腕で頭の周りを撫で、音の出どころを探す。ヒンヤリしたひらべったい物体を指で手繰り寄せ、寝返りを打った。
鼻からゆっくり空気を吸い込む。
やっと開いた寝ぼけ眼で、アラーム画面をスライドして黙らせた。
俺は朝が得意じゃない。
低血圧とか体質の問題ではなくて、単純に眠るのが遅いだけなんだけど。仕事から帰ると九時か十時くらい。そこからの自由時間が欲しいわけで、結局寝るのはいつも日付けをまたいだ二時とか、ちょっと張り切ってしまうと三時とか。そして七時に起床。だから常に睡眠時間は四、五時間。
テレビを点けてシャワーを済ませ、食パンにハムとチーズを乗せトースターにぶっこむ。いつもの司会とコメンテーターたちの声を聞きながら、服を着て、昨夜ポストから取ってきた郵便物をチェック。
電気料金。ガスメーター。
重ねた紙を分別すべく、必要な物をうしろへ送り重ねていくと、最後にご丁寧な白い封筒があった。宛先が実家からアパートに変更してある。
母さんの字だ。わざわざ送り直してくれたのか。
差出人を見ると高校の同窓生からだった。なんだろうと思い封を開ける。二、三枚の紙と封筒が入ってた。内容は同窓会のお知らせ。
え? 学年単位でやるの? どうりで、封筒がご大層だと思った。単なるクラスの同窓会ならもっと簡単な案内だろうし。母さんもわざわざ転送なんてしなかっただろうに。
最初のコメントを投稿しよう!