振り向いて、振り向かないで。

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振り向いて、振り向かないで。

 毎日、毎日、同じ夢を見る。  憧れの先輩に甘やかされる夢。  でも、いつも良いところで目が覚めてしまう。  そしてその度に実感するの。  ――ああ、やっぱり夢か――って。  悲しいけれど、わかりきっていた。  先輩には、私みたいな優しさに甘えているだけの女子は合わないって。  わかってる。わかってるわ。  それでも、願ってしまう。  あと5分でいい。  夢の中でくらい、幸せになりたい。  夢とわかっていて、行ってしまう先輩の背中を追う。  ――振り向いて。私を見て。  そう思っているのに、その背中が近付くと怖くなる。  ――振り向かないで。でも、一緒にいたい。  矛盾する気持ち。  心がグルグルかき混ぜられる。  夢なのに息が苦しい――もしかして、夢じゃない? 「先輩、大好き!」 耐えられずに、私は自分の気持ちを叫んだ。 彼が振り向くまで、あと5秒……。 .
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