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「まとまった金が入ったから」
教室のいつものメンバー(そういえば最近、塔ヶ崎師匠は朝から来ている)の5人全員がきょとんとした顔で、誉田を見上げた。
(誉田はちょっとみんなより背が高い)
「出たよ、昂良。お前が言うと怪しいっての」
塔ヶ崎くんに言われて
「ああ、説明不足だな。せっかくだから6人で出掛けるのはどうかとリサーチした。今月末までのチケット買ったから、みんなで行こう」
「……昂良、それお礼のつもり?」
日野くんがニコニコしながら言う。おお、誉田の事わかってるって感じ。
「そうだよ。猫のこと、陽太にも撰にも協力してもらったから」
「いいのに、そんなの」
「だわ。お前変に気遣うよな。俺らにそんな金使わなくていいから、細川とどっか行ってこいよ」
「いや、清夏は清夏でそうする予定」
そうする予定をここで聞かされて、赤くなる私。
「何か私たちまで、悪いよ」
と、陽葵が聡子と顔を見合せた。
「いや、もうチケット買ったから」
「……じゃあ、遠慮なく。みんなで行こうか」
そう言って、みんなで予定を合わせた。
「……また合わねえんじゃね?」
「クジでペア決める?」
日野くんの冗談にクスクス笑う。
「あ、大丈夫そうよ」
今度は、6人の予定が合った。
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