628人が本棚に入れています
本棚に追加
死期、近し。
盛夏の近づく足音と、死が私へと近づく足音が聞こえる気がした……。
に、私を見つけると校門から私へと近づいてくる誉田昂良の足音……は、リアルに耳に聞こえるわ。嫌だわ。ちゃんと来てるわ。
何なら少し嬉しそうだわ。それはそうか本願叶うわけだ。私と言う死体を……見れるのだから。
「しまった!」
「え、どうしたの、細川さん」
しまった、声に出してしまった。
いや、それより誉田と会うことを誰にも話していないつまり、私の死体が発見されてもこいつが犯人だと誰も気づかないのではないか。
夏の思い出メンバーは誉田の発言を覚えていて証人になってくれるだろうか。いやそれよりギリギリのところで誰か助けに……
「細川……さん?」
「あ、え、はは。今日誰にも言わずに来ちゃったなって……」
誉田に言ってどうする。私よ。
「あ、そうか。部活って言ってるのに遅くなったらご家族が心配されるね。そんなに遅くはならないつもりだけれど、今、連絡入れたら?」
……誉田が横にいるのに電話は出来ない。それなら……私は家族に『クラスメイトの誉田くんと』とまでメッセージを作って気づいた。
「誉田くん……今からどこに行くんだっけ?」
「ああ、とりあえず今日は計画をね。お互いに話そうと……って聞いてる? 細川さん」
計画って、計画か。“完全犯罪”
「はっ、はい」
「どこか、涼しいところで少し話して行こうか」
涼しいとこ!?早速!?
私は首筋がヒヤリとした気がして誉田を見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!