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「そこでも入る?」
てっきり人気のない所へ連れていかれると思っていたのに
誉田が指差したのはファーストフード店だった。
「ふ!?」
「……何?」
「いや、結構人間が多いなと思って」
「まあ、そうだね。それなりの混雑だね。今日は一先ず計画だけ立てよう」
なるほど。私は今日は殺られない。
うーん、それなら。ダイエット気にせずに食べよう。あと何日生きられるかわからないのだから。
涼しい店内で座っていたら、誉田が席まで運んでくれた。紳士だ。見た目通りの。中身はアレだけれど。
ソーダ水の上にソフトクリームの乗ったフロートを先がスプーンになったストローでつつく。
誉田が飲んでいるのは、まるで鮮血のような赤い……ブドウジュース。
あらそう。コーヒーとか飲みそうなのに。
などと考えていたら
「美味しそうだね」と言われる。
「あ、美味しいよ。一口いる?」
「いただこうかな。じゃあ、こっちもどうぞ」
誉田が向けてくれたブドウジュースに刺さったストローから(なぜか誉田が手に持ったまま)一口飲む。おお、ブドウ!果汁100だな。濃厚だ。
私が飲んだのを確認すると私の口からストローを外す。
じっと見てくる誉田に、あれ?と思い
「ソーダとソフトクリームどっち?」
と聞いた。
「ソフトクリーム」即答した誉田に少し大きめの一口を掬って差し出した。
「うん、美味しいね」
「うん、そっちも美味しかった」
……って、何これ。カップルみたいなことしてる場合じゃない。
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