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「さすがに、それは厳しいから、肝試しでもする? ある意味死んだ人……」
「ぎゃあ、無理無理無理! 私、暗いとこ、お化け系いっちばんダメ!」
「……うーん、そっか。えっとじゃあ……細川の思い出から叶えようか」
そう言っていたずらっぽく、言わば“悪い顔”で笑った。
名前、呼び捨てに変わった。怖い。
いや、殺る前に願い聞いてやるぜって事?だろうか。意外に慈悲深い。慈悲?
そうか、私の頭の中で死期を延ばす名案が浮かんだ。
「私は……恋がしたい」
そうだ、これがしたいことであると同時に、とても難問であること。だから上手く行けばずーっと生き永らえる!
誉田は少し驚いた顔をして、うーんと考える素振り。
それから、サラリと
「もうしてるんじゃないの?」と優しい顔で笑った。
その顔に、こんな顔もするんだなーと思い、ついでにやっぱりイケメンだなと気付き、そのあとようやく誉田の言葉を理解し、胸がドキンとした。
それは誉田の笑顔が思ったより、アレだったからなのは認めよう。
それだけじゃなくて……誉田が『もうしてる』と言った恋の相手とは……
「え、いや、違うよ。日野くんのことはね、真っ直ぐで可愛いなーって思ってただけで、恋とはとても……呼べるものじゃあ……」
はっ、言ってしまった。誉田を見ると、まだ優しく笑っていた。
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