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「気づいてたの?」
「うん、まあね」
「恋とは言えないよ、本当だよ。日野くん陽葵にぞっこんだし」
「……あー、あいつは……いや、いいや」
ちょっと何を言いかけたか気になるけど、これ以上日野くんの事を掘り下げられたくなくて流すことにした。
だけど、誉田もこれ以上追及する気はないらしく
「じゃあ、細川のはそれね。何とかする」
「え、何とか!?」
「……いい恋が出来たらいいね」
そう言った誉田の笑顔には悪意がなく、あれ?大丈夫なのかな、と少し思って、やっぱり油断して殺る気では?ともう少し気を張ることにした。
店を出て並んで歩く。これまで意識して誉田を見ることはなかったけれど。スラリとした背丈も見上げた横顔も、前から来た人にすれ違う時にする気遣いとか、私を内側に入れてくれるところとか。
随分な……イケメンだ。ただちょっと……
「夏場の死体なんて腐敗が早そうだよね」
……気持ち悪い。オエ。
「フロート美味しかったな。今度は俺もそうしょう」
「……え? 今度?」
ああ、別に私と来るわけじゃないか。
「じゃあ、私はブドウジュースにしよう」
単に美味しかったからそう言った。
「うん、また一口ちょうだい」
……何だろう。ものすごく戸惑う。
でも、まあ「うん」と、答えた。
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