1.ペア

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「気づいてたの?」 「うん、まあね」 「恋とは言えないよ、本当だよ。日野くん陽葵にぞっこんだし」 「……あー、あいつは……いや、いいや」 ちょっと何を言いかけたか気になるけど、これ以上日野くんの事を掘り下げられたくなくて流すことにした。 だけど、誉田もこれ以上追及する気はないらしく 「じゃあ、細川のはそれね。何とかする」 「え、何とか!?」 「……いい恋が出来たらいいね」 そう言った誉田の笑顔には悪意がなく、あれ?大丈夫なのかな、と少し思って、やっぱり油断して()る気では?ともう少し気を張ることにした。 店を出て並んで歩く。これまで意識して誉田を見ることはなかったけれど。スラリとした背丈も見上げた横顔も、前から来た人にすれ違う時にする気遣いとか、私を内側に入れてくれるところとか。 随分な……イケメンだ。ただちょっと…… 「夏場の死体なんて腐敗が早そうだよね」 ……気持ち悪い。オエ。 「フロート美味しかったな。今度は俺もそうしょう」 「……え? 今度?」 ああ、別に私と来るわけじゃないか。 「じゃあ、私はブドウジュースにしよう」 単に美味しかったからそう言った。 「うん、また一口ちょうだい」 ……何だろう。ものすごく戸惑う。 でも、まあ「うん」と、答えた。
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