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2.クセモノ
大して頭がよくないせいで、誉田の考えていることが全くわからない。
もはや、頭のせいでもなさそうだ。だけど、明日も会う……のか。
──私の差し出したストローが誉田の口に届く。
唇の色とか……形とかすごい綺麗で
思い出してしまって、かあっと顔が熱くなる。
ごめん、陽葵。イケメンだわ。全然気づかなかったけど……見た目だけは天下一品だ。眉目秀麗
だけど、とっても意味不明。
『何とかする』ってどうするつもりだろう。それに、日野くんへの気持ちがバレていたことも恥ずかしい。
恋になる前にブレーキをかけたつもりだったのに。頭のキレる人は鋭い。それとも私が……単細胞なのか。
お耽美系な誉田とお単細系な私。
……全然上手くないな。
さあ、どうしようかな。毎日部活に行かなきゃだし、毎日誉田に会わなきゃだし。
なかなか濃い夏休みになりそうだ。
生き永らえることが出来るならば、だけど。
薄暗い外で、まだセミの鳴く声が聞こえる。
セミって1週間くらいしか生きられないんだっけ?
だから、あんなに必死で鳴くのかなー。
私も短い命なら……あんなに必死になるのか。いや、待て。いつ殺られるかわからないのだから、ある意味必死に生きなければ……。
何かでも誉田、意外に優しかったな。日野くんのことからかったりしてこなかったし、そっとしておいてくれたし。
優しく笑う誉田の顔を思い出して、ぶんぶん首を横に振って振り払った。
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