2.クセモノ

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この日も部室に生徒は私一人。 それはそうだろう。夏休みの初日から連続でわざわざ出てこないだろう。 昨日も今日も。 「ねえねえ、清夏ちゃん昨日さあ、誉田くん迎えにきてなかった!?」 「アキちゃん、ゴシップしてないで仕事しなよ」 顧問の阿木先生はまだ若い女性の先生で20代後半くらいだろうか。で、私がこの部室にいるでここで仕事が、出来る、らしい。 「いやいや、あのイケメン誉田くんでしょ? ああ、うらやま! 」 「無理に若い言葉使わなくてもいいです。ついでに、ずっと付き合ってくれなくてもいいってば」 「いいの、いいの。 職員室いたら後ろ通る度にチラチラ画面見てくる先生(ヤツ)いて息がつまるーっての」 「サボらないで~」 「あはは、まあね。何で毎日部活に顔出してんの? 清夏ちゃん。家庭で内紛でも起きた?」 ……先生にあるまじき…… 「ちょっと、ね」 その“ちょっと”の訳を詳しく聞きたそうなアキちゃんにため息ついて 「誉田くんとの約束を断りたくて、毎日部活だって言っちゃったのよ」 「あらぁ、あらぁ、あらぁ」 もう鼻の穴膨らみまくりのアキちゃんに、「あの人変わってるんだもん」とだけ言った。 好奇の目を逸らすのに「色恋沙汰は全くない」 と、伝えたのに、「わかる、あれだけ格好いいとね、そうやって片思いにも予防線張っちゃうよねっ」 ……なぜ私が片思いしている設定なのか。
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