2.クセモノ

3/13
前へ
/183ページ
次へ
なぜ? それは教師の目から見ても、誉田(ほんだ)昂良(たから)は憧れられるべき対象なのだろう。 と、隣に並ぶには似つかわしくない私。まあね、私が片思いしてるって考える方が自然だ。 だけど、残念ながら、どちらのパターンも不正解だ。 どっちもどっちに片思いもしてなけりゃ両思いでもないし 「いや、マジで、色恋関係ない。男女が二人でいたら色恋に繋げるの、いい加減ナンセンス」 「ふん、なるほど。だけどアレだねー、オリンピック周期くらいであのテのイケメン入学してくるわ」 「あー、そうなの? 4年に1回レベルのイケメンならそこまででもな……ってアキちゃん! 教師なってオリンピック1回しか経験してないっしょ? 」 「ん? そうだった、そうだった」 「適当だな~」 「希望だよ。それくらいのスパンでイケメン入学してきてくれたら頑張れる」 教師にあるまじき! 本気なのか冗談なのか。 saves the worldって独り言聞こえた気がするけど……はて? リスニングは、苦手だ。 時計を確認すると、誉田との待ち合わせにはもう少し時間があった。 「何、まさか、今日も誉田きゅんと約束があるの?」 私の不審な顔に 「あ、噛んじゃった」ってアキちゃんは誤魔化したけど……今、絶対に『誉田きゅん』って呼んだ。 「何、アキちゃん、誉田きゅん推し?」 「いや、そんなことない、そんなことない、噛んだだけ」 必死なアキちゃんに……面倒臭そうだから掘り下げないことにした。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

628人が本棚に入れています
本棚に追加