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校門にもたれていた誉田が私に気づくと、少し笑う。
「そんなとこもたれたら、服汚れちゃうよ」
そう言って、誉田のグレーのTシャツ、その背中をはたいた。
「別に、汚れていい服しか着てない」
ふと、視線を感じた気がして部室の窓を見上げると、アキちゃんがひらひらと手のひらを振る。
私の顔を見て、誉田も視線を追う。アキちゃんに気づくと一礼した。
はあ、もれなく明日も何か言われるな。ガッカリする。
「……何でそんなガッカリしてんの?」
誉田が不思議そうに訊いてくる。
「ねえ、ここで待つの止めない? 」
「何で?」
「目立つし、それに……」
察したらしく、「ああ」と頷いたあと
「デキてるって勘違いされるのが嫌なんだ」
デキ……案外スラングだな。
「そうだよ、困る」
「そうか……じゃあ、勘違いじゃなければ良いわけだ」
……意味不明!
「な、な、何それ」
グレーのTシャツを真夏に着て、汗滲み1つない誉田は涼しげに私の動揺をスルーして
「今日は、俺のと、細川のとどっちも少しづつ進めていこう」
そう言うと、先ずは……と、スマホを取り出すと早口で喋り出した。
「敬称略。サッカー部キャプテン諏訪。バスケ部福沢、テニス部は加賀と林、吹奏楽部入江、……………」
と、この辺りから聞き取れなかったけれど名前を挙げていく。
何のリストだろ……まさか……死体にするリストじゃないよね!?
か、片棒を担がされるのでは……!?
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