2.クセモノ

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「そっか、本人が一番いいんだろうけど……」 「だっ、だから! 日野くんのことは! いいって!」 ……また日野くんの名前を出してしまって、俯く。 「……うん」 誉田はそれをからかうでもなく優しく頷いてくれた。 知ってる、日野くんは……陽葵のことが好きだ。陽葵は、誉田くんが好きなんだけど、だからといって私は日野くんとどうにかなりたいわけではなかった。 生き永らえるために『恋がしたい』って言っただけで夏休み中じゃなくても……いや、夏休み中にデートとか、そんな思い出が作れたら最高、なんだけどさ。 「……じゃあ、これはどうだろう。陽太と1日思い出を作ったら? うまく言うからさ」 『1日でいいの』誉田とたった1日でもいいからデートがしたいと言った陽葵を思い出していた。それなら、私も……望んでもいいのだろうか。 「そうしよう。だから、ごめん……それまでは俺で我慢して?」 本当に申し訳なさそうに、誉田はそう言った。 「え、そ、そんな。もちろん……だからって、ちゃんと付き合うよ」 こちらも申し訳なくなって、慌ててそう言った。 誉田は今度はちょっと不敵な笑みを浮かべて 「悪いね、じゃあ、今日は俺の方ね」 そう言うとスタスタと歩く。 あれ、今……笑顔怖かったけど。私……うまく乗せられたのではないだろうか。
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