2.クセモノ

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そんなに広くない、平屋の家なのですぐに見終わった 「……また、明日だな」 誉田がくるりと体の方向を変えたせいで、真っ暗な中で、向き合う形。私の手がそのままなせいで、抱きついたみたいになって、あまりにしっかり握っていた手は、頭でわかっていても強ばって離れてくれない。 誉田が手を離してくれて、今度はそのまま出口へと向かった。 自分の手のひらがじっとりと汗で濡れていることで、恥ずかしくて、それでも怖いから、なのか手を振りほどかずにいた。 外へ出ると、手は離され、誉田は厳重に引き戸が動かないように固定している。 手入れのされていない小さな庭は草がすごい。 「そこ、草で見えないけど飛び石があるからつまづかないように」 そう言ってもう一度私に手を差し出す。 あまりに自然な仕草さに、私も素直に手を預けた。 ギィと門が鳴る。その門も丁寧に閉めると 「ん」と、もう一度手を差し出して来た。 「ごめん、思ったより暗くなるのが早かった」 私の手を握ると歩くリズムに合わせて自然にその手が揺れる。 「……いや、大丈夫」 「また明日」 また明日、ここへ来るのか。 これって……肝試し……だよね?よくわからないけど。 いや、それより、手。 「落ち着いた?」 暗くてよく見えないせいか、誉田が顔を近づけて私の顔を伺う。 「うん」 「大丈夫、大丈夫」 なぜか誉田がそう言って、きゅっと繋いだ手に力を入れた。
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