2.クセモノ

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私の家の近くまで送ってくれて「また明日」そう言って誉田は帰って行った。 そのギリギリまで手は繋がれたままで、その手を繋がれている間、私の思考は全く働いていなかった。 そのせいで、部屋に入ると疑問が怒涛の勢いで流れ出てきた。 何?あの人。 何?あの廃屋。 何で?何が? ここに答えがあるわけもなく、何より情けないのは、誉田に手を繋がれたことで、全く何も聞けなくなってしまったことだ。 ()られる心配は多分ない。それどころか、紳士だった。 いや、でもそれならそもそもそこに連れて行くか?肝試しとかお化け系絶対無理だって言ったし。 頭の中でもぐるぐる考えを巡らせていると、メッセージの通知音が聞こえた。 誉田からかと急いでスマホに飛び付くと日野くんからだった。 『清夏ちゃん、昴良とペア大丈夫? 』 天の助け! ……あ、でも何て言ったらいいんだろう。 手を繋がれて戸惑っています……? 何て返していいか、わからず悩むこと数分 『毎日会ってはいるんだけど、どんな人かよくわからなくて』と返信した。 『あいつ、自分の中で納得して終わらせる事が多いから、清夏ちゃんワケわからんと思ったら、その場で聞いて。ちょっと人のことからかうの好きなだけで、悪いやつじゃないから』 『わかった、聞くことにするね』 そう返すと 『イケメンだけど、惚れないでね』その言葉にドキリとして “何で?”って聞けなかった。 『大丈夫』そう返した時の胸の違和感は日野くんに対してか、それとも……。
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