1.ペア

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一応ね、ズルはズルだし、でも大歓迎なズルだったけれど「もう!」と、かたち上は陽葵に言っておいた。 「じゃあ、俺は細川さんとだ」誉田くんが『2』と書いた紙をピラピラ振ってみせた。 嘘……2!?どういう事!?取り換えたはずなのに。 えええええ!?おわ、終わった!終わった人生!終わった!! 「俺、3」塔ヶ崎くんがそう言うと、陽葵は日野くんと顔を見合わせて 「よろしくね、ひまちゃん」 日野くんがにっこり笑った。嬉しそう。嬉しそう。 その場でペア同士連絡先を交換する。 そして 「じゃあ、9月1日に」 「どのペアが一番、楽しめるか」 「へーい」 やる気があるのかないのか、気の抜けた返事をして塔ヶ崎くんはさっさと教室を後にした。 「じゃあ、ひまちゃん、また連絡するねー!」 ぶんぶんと手を振って日野くんも教室を出る。それに「じゃ」とだけ誉田くんが私に言って日野くんに続いていく。 残った私たちは、それはそれは盛大にため息を吐いたのだった。 「……もうすでに楽しくない」 聡子が蒼白な顔でそう言った。確かにぃ。塔ヶ崎くんと聡子では、一番合わないだろうなあ。 対極にいそうな二人。見た目も中身も。 私も誉田くんとペアになるくらいなら、塔ヶ崎くんの方がまだいい。そう思った。 いや、もういいや、正直に言う「日野くんが良かったなあ」と小さく呟いた。 私たちはそこから会話もなくとぼとぼと教室を出て行った。
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