一章:佳奈(かな)編

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一章:佳奈(かな)編

【プロローグ】 ────あなたから手紙が届くたび、わたしは罪悪感でいっぱいになる。 それでも、嬉しかったことは忘れられない。 今、あなたは何をしていますか? あなたもきっと、わたしの立場を理解して”詩”としたのだと思う。まるでそれは、和歌や短歌のように。いつも、どんな風に返歌をしたらよいのか考えていた。隠さなくてはならない互いの想い。 ────わたしたちは何処までも両想いで、結ばれてはならなかった。 でも、止められない想いはやがて終焉へと繋がってしまう。 結ばれることを願わなければ、きっと。 今でも傍に居られたでしょう。 時が過ぎ、何年も経ち再び心に宿る想い。 あなたはきっともう、忘れてしまっている。 ────世の中には、結ばれないからこそ強く思い続けられ、綺麗でいられる恋の形もある。 あなたのくれたもの、まるで宝石みたいにキラキラ輝いて。 互いにぶつかり合って、壊れたことも今では思い出。 せめて、今のあなたが幸せでありますように。
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