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西暦202X年
西暦202X年。初老の工学者は因果律の壁を突破するオープンカーを発明した。彼は助手のJKを従えて遥か未来を目指す。
そこに待ち受けるは高度成長期の誰もが夢見た理想社会。
しかし、その先には恐るべき現実が待ち受けていた。完全管理のドーム都市に疑問を抱いたロボットが待ち受けており二人を意外な結末へ導く。
そんじょそこらのありきたりな未来史を覆すちゃぶ台がえ史が待っていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「ジゴワット博士、最終調整が完了しました。すべて順調です」
黒髪ロングの少女が瞳を輝かせながら言った。
だだっ広い実験室のど真ん中で金ぴかのオープンカーがスモークに包まれている。
特定の既得権益に配慮したのか、そのフォルムは丸みを帯びた昆虫を思わせる有機的なデザインになっている。彼としては名車をベースにしたかったのだろう。恨めし気にボディーを一瞥した。
「そうか、絶好調。安全ベルトをしっかり締めておきなさい」
ジゴワットは気を取り直してハンドルを握り、キーを回した。助手席にはレジスターのような端末があり、ガシャガシャとやかましい音を立てている。
博士は眉間にしわをよせ、じっと正面の白い壁を見据えている。
エンジンはブルブルと震え、シャーシが小刻みに震える。その振動は次第に激しくなり、今にも飛び出さんばかりの勢いだ。
「よし、いいぞ。今度こそ。その調子だ」
絶好調と呼ばれた少女はシートベルトを装着した。興奮気味の博士に薦めると一喝された。「知的探求心に束縛は無用だ」
二人の焦点は壁に集中している。レジスターがチリンと鳴り、金額表示が目まぐるしく増加していく。
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