メカ姥捨て山

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メカ姥捨て山

「陳腐なディストピアね。では、皿に載っていた丸薬はサプリかしら?」  花子が能面のような人々を哀れむとパトライトが回転した。 「その通りです」、と素っ気ない返事。 「当たり前のように言うのね」 花子が悲しむとロボットはいぶかしんだ。「あなた達が過剰消費を戒めて環境保全に努めた成果を異常だと仰る?論理矛盾です」 ジゴワット博士は嫌な予感がした。そこで 二人と一台は高齢者施設を訪れることにした。花子が姥捨て山の復活を懸念したからだ。  さいわい、寿命に定年は設けられていなかった。ただ、介護現場は完全機械化されている。  失禁した高齢者が裸のままベルトコンベヤーで運ばれ、両サイドから「これでもか!」とシャワーを浴びせられる。次にT字型の布でサンドイッチされ、裾をロボットアームが縫い合わせる。  そしてワイヤーで吊るされてリハビリダンスを踊らされたあと、ベッドに寝かされた。 「尊厳もへったくれもないのう」  博士が顔を背けるとロボットが弁護した。 「この期に及んで、まだ、そんな田舎者みたいな正論を振りかざすのですか。安楽死の強制は人間の平均寿命を縮めてしまうのです。生きることを怠けてしまう。退化した下等生物のようにただただ繁殖するだけの人生を歩みたいですか」 「じゃあ、あんな状態でお年寄りたちは何のために生きているの?」  花子が施設入居者の扱いに納得がいかない。
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