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命の雫
私は世界初の人造人間です。
名前はCode Name I 研究所で極秘に開発され研究が進められていましたが、それが団体にバレて1人の研究者の男と一緒に何とか逃げ切る事が出来ました。
私には感情がありません。
研究所達は研究段階の私に感情を持たせることは出来ませんでした。
何とか団体から逃げ切った私達は森の中の小さな、小屋に到着しました。
そこは研究者達の隠れ家だった様です。
そこで私と研究者の男、斎藤 優希の生活は始まりました。
「今日から君の名前は 春夏だ!春と夏の間に産まれてきたからね!」
優希は笑顔で私に言います。
私にはCode Name I という名前があったのにわざわざ新しく名前をつけました。
その事になんの意味があるか私には分かりません。
お昼優希は外から大量の果物を抱えて帰ってきます。
「今日のご飯だ!美味そうだろ?」
優希はまた、笑顔で私に言います。
私の体の作りは人間と一緒ですが、私の体は歳をとることがありません。
更に、私は物を食べなくても生きていく事が出来ます。
従って、"食事"という行為は私にとって無駄なものです。
それなのに優希は朝昼晩全ての食事を私に作り、食べるよう言います。
私はそれに従って食事を行います。
その事になんの意味があるか私には分かりません。
食事中、優希は私に毎回話をします。
家族の話や、幼い頃の話、自分の趣味や、好きな物の話などを笑顔で私にします。
その事になんの意味があるか私には分かりません。
優希は何時でも笑顔でした。
自分に得がある訳でもないのに私の世話を毎日欠かさず笑顔で行います。
そして、私たちの日々は過ぎていきました。
そんな中、突然優希が血だらけになって帰ってきました。
酷い傷で、出血も酷くもう助かる状況ではありません。
恐らく森の中で食料を確保する際に熊に襲われたのでしょう。
優希の体には大きな爪痕が何ヶ所もありました。
優希は私に近ずき、私を抱き抱えて言いました。
「ごめんな…春夏…俺はお前にずっと謝りたかったんだ…俺達の好奇心の為に産み出され、研究され、辛かったよな…ごめんな…」
優希は涙を流していました。
私には分かりません。
その涙の理由も、自分自身が辛かったのかどうかさえも。
「俺は春夏とここで過ごせて楽しかった、最後まで一緒に居てやれなくてごめんな…」
それが彼の最後の言葉でした。
それっきり彼は動かなくなってしまいました。
その時私の目から液体がこぼれ落ちました。
その液体は私の目から大量に出てきて止まりません。
この目から溢れ出る液体はなんなのでしょうか?
私には分かりません。
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