サボテンと少年

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サボテンと少年

 8月に入ると、今まで夏休みをとっていたスタッフが帰ってきた。見慣れないキャッシャーがちらほら。  彼もその一人。赤い髪の小柄な背格好の少年。  大学生らしいけど、高校生みたいにも見える。キャッシャーの仕事はかなり手慣れているのを見て、先輩と判断した。  負けたって思った。(なにと戦っていたのか)  その日、私は、バスケットをクリーニングしながら彼の手さばきをじっと見ていた。すると、少年がある物を手に挙動不審に。  その手にはなんと、サボテンがのっかっていた。  そうそう、うちのスーパーには、平たい形のサボテンも売られている。実は私、初日から目をつけていたもの。こんなものまで売っていると興奮したからだ。私のあんちょこペーパーにはちゃんとサボテンのコード番号を控えておいた。
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