トレーニング

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 しかたなく、心を落ち着けて目の前の受話器をとり、55を押す。それは店内放送になる。 「値段のチェックをお願いします」  するとすぐにボーイズ(のちには小姓と呼ぶ)が飛んでくる。  その人に商品を渡し、チェックしてもらう。  チョコがかったおいしそうなアイスバー、チェックしに走ってくれた小姓が5ドル99と言ったとたん、客が口を開いた。  弁護士の「異議あり!」っていうタイミングで。 「いや、セールだったはず。そんな値段ならボクは買おうとしなかった」と申すではないか。  私は、その間に挟まれてどうしたらいいかわからない。だって、わざわざ頼んで値段を見てきてもらったのに、客がそうじゃなかったなんて言うんだから。  さらに客が、「たしか、4ドル99くらい・・・・」と言うから、小姓もちょっとむっとした顔で、「その値段でしてあげていいよ」と私に言う。  それなら最初からそう言えばよかったんじゃないのか・・・・。  私までがそうブツブツ言いたい気持ちを押さえ、にっこりしてその値段を打ち込んだ。  小姓にもありがとうと伝える。  ふう~、キャッシャーは大変だ。
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