甘いスイカ

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甘いスイカ

 暑い日は、母がよくスイカを切ってくれた。  三角形に切られた真っ赤なスイカを、夢中で食べた。  スイカは水分を多く含んでいてみずみずしく、甘かったので、おやつや夕食時によく出た。  そして母はよく、とうもろこしも茹でてくれた。  塩茹でしたとうもろこしは、味がぐっと引き立てられ、しゃりしゃり甘くて夢中になって飽きもせずよく食べていた。  父は夕食時、よく冷たいビールを飲みながら、野球観戦をしていた。  ひいきのチームが勝つと父は、手を叩いて「よっしゃ!」と声を上げてはしゃいでいた。  私はそんな父の姿を見ながら、スイカやとうもろこしにかぶりついていた。  食べ終えたスイカの皮は、たまにカブト虫のカゴに入れた。  するとカブト虫がスイカの皮に夢中に吸い付いていた。
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