線香花火

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線香花火

 親戚が家に遊びに来ると、庭で花火をやった。  昼間の暑さが残っているアスファルトの空気や、ずっしり暗い空。  灰色の古ぼけたバケツに水をたくさん張ってから、花火をした。  手持ちすすきやスパーク、噴出花火やロケット花火などを楽しんで、最後の締めはいつも線香花火だった。  線香花火をつけると、パチパチパチと小さな火花たちが静かに散る。  やがて、オレンジ色のみかんのようなまんまるがポタリと落ちるまで、私は静かにその様子を見ていた。  人生はまるで、線香花火のようだ。  小さな命が生まれて必死に輝き、静かに落ちる。  そんなことをぼんやり、幼心に考えていた。  花火が終わった後、水を張ったバケツに花火を入れるときのじゅわっとした感覚に、花火が終わった後に残った火薬の匂い。  お祭りが終わったあとのような、静かながらんとした夜ー……
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